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るべれてん 【 saylus : [根性] 】

[ジョブ]
サラリーマン
フリーライター
見習いカトリック信徒
エクソシスト

[レベル]
21

[称号]
割愛

[HP]
2051 / 5634

[MP]
315 / 645

 

 

 

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 目元に浅い皺を、頬に深い傷を刻んだ中年の騎士は、暗紫のマントを翻して跪いた。

「主よ、私の行いが、言葉が、理念が罪と仰るならば。
 私は、どんな凶悪犯にも劣らぬ大罪人でございます」

 かしゃん、と小気味好い金属音を立てて、騎士は静かに立ち上がった。

「知る事が正義と、私は信じておりました。
 行軍した兵はどの様な物を食べ、どの様な場所で寝、どの様な環境で寝食を行うのか、
 指導者たる国王陛下に知らせる事こそが正義だと、信じておりました。

 悲しきかな、今でも私はその行いを後悔はしておりません。
 陛下は、人の痛みのわかる素晴らしい御方でした。
 兵三千と陛下のお命を引き換えにする事も、決して厭いませんでした。
 むしろ陛下ならば、その御首で二等兵一人の首が助かると聞いても躊躇無く陛下自身の
 御首を差し出しましたでしょう。
 我が主君は、それだけ優しい御方だったのです」

 中年の騎士はそこまでを誇らしげに語ると、何か遠い物を見るように、目を眇めた。

「陛下は、私たちガ・ジャルグの騎士にとって、命より尊い名誉と誇りの象徴でした。
 我らは陛下を身命賭して守り、陛下は我らと友、盟友、同胞のべつくまなく身命賭して
 守っておりました。
 我らは騎士でありながらも、30余名が常に気を張っても陛下御一人しか守れぬのに対し、
 陛下は、それがさも自らの使命と言わんばかりに、手際よく、かつ
 国民の誰もが平等に陛下の恩恵を受けられるよう、日夜気を張っておりました。

 我ら30余名が、日夜身命賭して成し得ている事の何百倍、何千倍、何万倍も
 陛下はさも当たり前の様にこなしていらっしゃいました。
 我らには、陛下が人間ではなく、天の遣わしたもうた王か、神そのものに見えました。
 貴族も、貧民も、騎士も全てが平等で。
 全てがこの王国の国民である事を誇りに思える、この王国は我らの目に見える陛下が
 目に見えぬ力でなし得た、陛下と言う名の神が作りし楽園でした。
 何度も言いますが、この王国では全てが平等でした。
 国民は全てが陛下のご友人、騎士は全てが陛下の御家族でした。
 そう、全ては陛下只一人の為であり、尚且つ数多の国民の為にこの王国はあったのです」



 騎士は苦虫を噛み潰したような顔をした後、俯いて続ける。


「本当に・・・・・・平和な王国でした。
 誰もが笑顔で過ごせ、誰もが誇りと名誉を持って過ごせる王国でした。

 我らの王国の周りには、3つの共和国がありました。
 それらの国は、全て例に漏れず元は王国でありました。
 同時に、それらの王国の国王は全て我らが陛下のご友人でした。
 同じ皿でパンを食べ、同じ杯で水を飲み、同じベッドで寝る程、仲の良い方々でした。
 しかし何を間違えたのか、とある王国の女王陛下が我らの王国以外の2王国を全て滅ぼし、
 併合してしまいました。

 それに激怒した我らが陛下は、国民に語り掛けました。

 『貴方達の敬拝する女王陛下は、本当に敬拝すべき人物であるのでしょうか?
  貴方達は、本当はわかっているはずです。
  殺めるべきは、罪も無き男、老人ではない。
  犯すべきは、罪も無き女ではない。
  売り飛ばし襤褸雑巾の様に使うべきは、罪も無き子供ではない。
  それは全て他人にすべき事ではなく、己にすべき事なのですから。

  己に剣を振りかざせる者は、剣をお取りなさい。
  その剣は人を殺める為の剣ではなく、貴方を束縛する鎖を殺める為の剣なのですから』


 と。

 国民達は、剣を取りました。
 それを見た国王陛下は城に帰り、我らガ・ジャルグの騎士にこう命じました。

 『我らが同胞は、今とても危険な洞穴に居る。
  左には崖、右には濁流、あまつさえ蝋燭の灯火すら無いと言うのに、一歩目を踏み出した。
  貴方達には、友の手にある松明に灯りを灯して来て欲しい。
  それが出来るのは、貴方達しか居ないのですから』

 私達は城に数人を置いて、馬を走らせました。
 片道三日の路を一日半で走り、休む間も無く盟友の松明に灯りを灯しました。

 その甲斐あって、仲睦まじかった4王国の一つに君臨していた姫君は、3王国を手中に収めた夜
 我らが盟友に殺められました。
 我らが陛下は姫君の死に嘆き悲しみ、せめて姫君の灯した国と言う焔を消さぬ為に、国を正しき
 主に委ねました。

 その主と言うのは国民で、そこから3つの共和国が誕生したのです。


 反旗を翻した末に失った姫と、その姫に倒された王二人と王女の死に嘆き悲しんだ
 陛下は、徐々にではありますが執政なさらなくなってきました。
 私たち騎士が30余名集って成し得られる事の比にならぬ事をやってきた陛下が、その使命を
 手放したのです。


 だんだんと騎士達は、国王陛下に対する忠誠心が薄らいできました。
 今まで心の底より敬拝していた国王陛下を、下衆野郎と罵る輩もおりました。

 ある日、騎士の一人が陛下にこう問いかけました。

 『陛下はいつ、使命を捨ててまで貫きたいと思った快楽を得たのです?』

 と。
 陛下の返答は、それは静かなものでした。

 『私の使命は、私が国を司り、人々に分け隔てなく幸福を分かち合う事だ。
  私の快楽は、人々が国を司り、人々自身が分け隔てなく自らの力で幸福を掴む事だ。
  私は私の使命より大事な快楽を得たので、それを貫き通している』

 そう聞いた騎士は赤面して、陛下に問い返しました。

 『ならば陛下、それならば何故そう仰らないのですか?』

 騎士に負けぬ程陛下も赤面して、騎士に答えました。

 『私は、愚帝と呼ばれる事に慣れて居ないのでな。
  困ったものだよ、私の臆病さ加減には。
  この年になってもまだ、ル・ガルーに付き添って貰わないと寝られぬのだから』

 今度は私が赤面する番でした。





 熱さも峠を越した頃の事です。
 自らの手で動き始めた3つの共和国は、暫くは平穏でした。
 いや、表向きは平穏でしたが、内情はとても荒んでおりました。

 暴力沙汰は日常茶飯事。
 数日に一度は殺人事件も起き、とても治安の悪い国へと変貌しておりました。
 密かに国の動向を見張らせていた密偵の話を、最初のうちは嬉々として聞いていらっしゃった
 陛下ですが、日を追うごとに連れだんだんと疎んじるようになりました。
 とうとう密偵の報告を拒んでしまった陛下は、次第に部屋に塞ぎこむ様になりました。
 私たち騎士は居ても立っても居られず、陛下を励ます為に国を挙げての剣術大会を企画しました。
 国民の笑顔、努力、幸福さを見れば、陛下も立ち直るだろう、と思っての事です。


 しかし、何を勘違いしたのか、3つの共和国は堕落した彼らの国を攻め滅ぼす為に軍備を
 整えているのだろうと誤解し出しました。
 だから自分たちの国を守る為に、3つの共和国も軍備を増強し始めました。
 私たち騎士は、元はと言えば盟友、そんな事をするはずが無いとわかってくれているものと
 楽観しておりました。
 それが、仇となったのです。


 剣術大会の日。
 3つの共和国は、我らが王国の王都を取り囲みました。
 要求は軍隊の解散と、国王陛下の首でした。
 その要求を聞いた国民は、誰もが国王陛下を守る為に剣を取りました。
 国王陛下の首が取られる様な事はあってはならない、この王国には陛下が必要不可欠なのだ、と。
 私も斧槍を手にし、陛下を守る為に先陣を切り、この命を捧げようと決意しておりました。
 が。



 国王陛下は、王都にある門の上に立って叫びました。


 『この私一人の首で済むのならば、この門を開放しよう。
  ル・ガルーッ!』

 陛下に呼ばれた私は、凛とした面持ちの陛下の足元に跪きました。

 『これより、この男の斧槍は私の首を刎ねるだろう。
  お前たちの約束が正しければ、この男の斧槍はこれで仕事納めだ。
  しかし、もし約束を違える事があれば・・・・・・。
  この男の斧槍は、お前たちから幸福を取り戻す為の、何にも勝る武器となるだろう!』

 私は、陛下に跪いたままその話を聞きました。
 頭の中で二度三度反芻して、やっとその言葉の意味を理解しました。


 私が、陛下の首を刎ねると?
 私の斧槍が、平和と幸福の象徴になる、と?

 それは確かに、私にとっては名誉となるかもしれません。
 しかし、今から与えられるであろう私のその名誉以上の誇りが、目の前にあるのです。
 私は、そんな事は出来ない、と言いました。
 陛下は、出来ないのではなく、やるのだ、と言いました。
 お前には大事な者が居るだろう。
 お前に出来る浄罪手段は、私の首を刎ねる事なのだ、と。
 さすれば、お前に足枷はもう無いのだから、とも。

 左を見れば、我らが盟友は口を閉ざしていました。
 右を見れば、我らの敵は口々に陛下を殺せと叫んでおりました。
 私は再度左を見、翡翠色の髪をした女を見出しました。
 その後私は陛下に向き直り、生唾を飲み込んだ後・・・・・・。




 私の斧槍は、振り下ろされました。







 ヤツらは、約束を違えず去って行きました。
 国王を失った王国は、やがて共和国になりました。
 元騎士だった友は、皆我らが盟友と変わらぬ暮らしに戻りました。
 騎士になる以前の暮らしに。
 私一人を、置いて・・・・・・。





 今宵、私は国王殺しの罪により、私自身の斧槍によって処刑されます。
 それは、私が大罪人だからです。
 国王陛下に戦争の悲壮さを知らせ、人々を大事にする事の尊さをお教えしたと言う
 大罪を、どうあっても浄罪出来ぬ大罪を、犯してしまったから・・・・・・・・・」




 男は再度跪き、深く祈りを捧げると、もう未練は無いとばかりに踵を返しました。
 騎士は一度も振り返らずに教会の重い扉を押し開けた後、扉をそのままに憲兵に連れられ
 去って行きました。



 主の姿を模した彫刻は、男の背に悲しそうな微笑を投げかけ続けていました。














*あとがき*


前編。
もちろん後編もある。
男いくつだよ。
あらすじだけなので、女と中年騎士の関係は書いてません。
入れるとめんどくさい事になるので入れません。
もっと細かく読みたい!って希望が出れば、多分そのうち書きます。
希望が出なかったら気分で考えます。


と言うか、最近こんな話しか思いつきません。
ぼくっておっかしー。




後編は来週。




2008.06.19(00:48)|分類忘れコメント(0)TOP↑
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性別:フツーの兄ちゃん
その他:条件、眼鏡等。但しAT車に限る。
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体重:一ヶ月で10kg痩せた
性格:
自称、ただのにーちゃん
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【好きなもの】
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パラディン/クルセイダー
ROの女プリースト系のスリット
及び、女教授のふんどし。
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FFTのダイスダークはおれの兄。シドルファスは俺のパパン。
アルルゥとアグリアスたんとゼノギアスのマリアたんとマルーたんと雛苺はおれの嫁。
誰が何と言おうと、死んでもアルルゥと雛苺だけは誰にも渡さん。
チェスも好き。紅茶も愛してる。
アールグレイとダージリンとセイロンウバとアップルティーとカモミールティーは最高だ。

【嫌いなもの】
和風スイーツ(笑)ほぼ全て。きなことかもう大嫌い。
とろけるチーズ嫌い。でもピザのチーズはセーフ。
チーズハンバーグとかチーズバーガーとかはアウト。
後、SFモノの作品もあまり好きじゃない。
和風ファンタジーもあまり好きではないかな。
後、女性の立場を上げよう!って団体も嫌い。もう十分じゃねーか。

正直どちらかと言えば和食派。
肉より魚派。
揚げ物より煮物派。
東京で行ってみたい所は浅草。
旅行に行きたい所は京都。テラへ。
半年以内に叶う夢は甲斐性のある男になる事。
これから先の夢は子供を持つ事。
野望は生涯焼きそばとスパゲッティーとさばみそへの愛を貫く事。しいたけも大好きだよ。愛してるよしいたけ。

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